kajiのオブジェ
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梶 なゝ子 作品

 ---ただ日々のなかでつくること---
「魅せられる・・・展」では、私の作品が大きく変わっていくきっかけとなった作品群(1990年代前半)と、現在につながる作品(2006年)で構成していただきました。 さらにここでは、2003年以降の作品を掲載させていただき、現在の仕事の紹介とさせていただきます
。  90年代に入った頃から、使われるための器づくりから、徐々に、そこに内包される個人的かつ普遍的不可視の世界をみいだしていくようになりました。
つまり、器という形象から広がっていくイメージを大切にした器形の造形作品へと移行したわけですが、やがて、それらは器という形を必要としなくなり、より自由な造形作品へと変化していきました。
 そのように作品が変貌していく年月の中で、粘土という素材を日々眺めることから、いつしか自分が立っているこの地面の有り様や、ひいては自分が生まれ育った地球そのものへと興味は広がっていきました。粘土という地球固有の素材を使って制作してきたわけですから、それは当然の成り行きだったともいえます。
  私が生きてきた時間と私を取り囲んでいる空間を手がかりに、この圧倒的な存在を改めて受け入れ理解していこうとすることは、世界との関係において一つのけじめをつけたうえで、もう一度自己の居場所を見つけなおしていく作業でした。
 すなわち、それは制作において、出来る限り自明の自分を捨て去り、即興という方法から作業を開始しすることでした。自分の意識の裏側に内在するものを見つめ、さらにそこから形づくられる予期できないフォルムの全てを受け入れようとする試みは、同時にとても魅力的な未知のページを開くことでもあるのです。

                      
2011.2.9.  梶なゝ子
nanako kaji

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