柴田 眞理子
Mariko Shibata
やきものの危うさを秘めた、静物画のような空間
中が透けて見え向こう側を見通すことができる器が、テーブルに載せられている。器の薄さからモダンな雰囲気を感じさせ、また手にするには危うげな緊張感が、見る側に伝わってくる。薄いこれらの器の表面には、上絵や顔料などの拭き取りの技法で装飾し、やきものの技術を組み込んでいる。これは、やきものには使えないただ見るだけの器が存在することを、見る側に提示している。この作品を見て、使えない器への戸惑いや器の形の見慣れた安心を感じたとしたらーすでに、つくり手とのコミニュケーションが始まっているのです。器のシルエットや器がつくる風景はまるで一枚の静物画のようで、静寂の時間をもたらしてくれる。
(参考文献)『やきもの新感覚シリーズ・50人1999-2005』INAX出版(2005)
「作家コメント」柴田眞理子『現代陶芸の若き旗手たち』愛知県陶磁資料館(1996)
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