ライブレポート
岸

岸 映子
Eiko Kishi

光のドローイング、色の流れは華やかな装飾美を

ドローイングを器に落とし込む作業が、彼女の最初の仕事であった。それからドローイングは、作品の中でカッターなどで引かれる繊細な光の筋のような多数の線に移り変わり、土づつりから進められる「彩石象嵌」と呼ぶ技法が岸の独自の世界をつくる。近年、土という素材から解き放たれて、ようやく形をひとつのテーマにゆだねることになってきたという。それは、日本の伝統芸能のひとつ「能」であり、岸自身が10代から親しんだ世界であった。静寂を切り取ったような、光をまとう能衣装の華やかな装飾美の再現―能の舞いの一瞬を
捉えたかのような姿が、彼女独自の「彩石象嵌」と呼ぶ、繊細に色を散らした装飾技法と融合している。

 

 

 

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