福本 双紅
Fuku Fukumoto
月 影
「たとえば私の場合、ロクロを挽いた瞬間のかたちを、後でもう一度「削り」で見直し、かたちを決めます。自分の感性と、土の特性との話し合いで、一つのかたちに決着をつけるのに、私はちょうどいいリズムを得ることができるのです。」
福本双紅「薄氷の景 白磁のうつわ」『やきもの新感覚シリーズ・50人1999-2005』INAX出版(2005)より
マット感のある白いうつわの形が好きだという。これらは、その形を作品の中で生かせるようにと考えられてきたもの。うつわとうつわの微妙に重なりあう間合いは、窯の中で重力、土の収縮、釉薬などの要素が関わりあい、ささやかに動いていくもの。このように手をつくしながら、自然の力をどう生かすというやきもののプロセスに、福本は面白さを感じている。海外で過ごした後、さらに自分の中の日本的な感覚に気付き、自然との関わりを大切にする日本の美意識に、誇りをもつようになった。
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