ライブレポート
荒木

荒木 高子
Takako Araki

聖書が語るー風化する時間と内なる心の響き

「聖書」をつくり続けた陶芸家として国内外でしられる荒木は、みずから無宗教であると記している。そうすることにより、客観的に信仰心を捉えようと考えたのであった。「宗教とは、自分の心に他ならないと気づいた。それ以来……これまで、ほとんどを、己の心の内部を作品化してきた。要するに、私は、自己解体作業を制作によって行っている。」(註1)聖書のシリーズは、シルクスクリーンで転写して、やきものでありながら、あたかも本物と見間違うリアルさを得ている。砂の聖書は、シャモット(註2)と六甲山の花崗岩(註3)、低温釉を混ぜた材料で成形される。また《銀の聖書》は、磁土を紙状に伸ばしてつくられている。いずれも、土がもつ素材のたわやかさや力強さをみせる聖書に仕上げ、歴史という時間の重みや、荒木の内なる精神世界を静かに物語る。

 

 

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